マグロになった齋藤さん《仕事の笑えるお話》
こんにちは。
雨が降ると髪の毛が爆発するはるらっしゅです。
朝に頑張ってセットして家を出ても、最寄り駅に着く頃には全部とれていて、セットに使った15分を返せと虚しい気持ちになります。
「髪を結べば良いのでは?」というお声も聞こえてきそうですが、如何せん私は顔が丸い。
その顔の丸さを隠すためになるべく髪は下ろしていたい。
そんな葛藤に日々苦しめられている、今日この頃です。
さて、私は雨が降ると必ず思い出す出来事があります。
本日のテーマは《仕事の笑えるお話》。
はるらっしゅが過去に遭遇した仕事の笑い話を、ノンフィクションでお届けします。
最近は少し真面目な話題が続きましたので、今回はお笑い回です。
さらりと読める文量ですので、ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。
マグロになった齋藤さん
マグロは泳ぎ続けないと死ぬらしい。
マグロは口を開けて泳ぎ、エラを通過する海水に溶けた酸素を常に取り入れながら呼吸するラムジュート換水法で呼吸をしているためだ。
つまり、泳ぎを止めると酸欠状態で窒息死。
魚の世界も色々あって大変だと思う。
その日はどしゃぶりの雨だった。
雨の日の夕方は頭がぼーっとするので、コーヒーを買おうと、会社のビルの1階にあるカフェに行く途中、携帯が鳴った。
「今出先でさ、社用車の鍵を失くしたんだけど、どうしたらいい!?」
所長からだった。
言葉の意味が分からず「あっ、所長ちょっと待ってくださいね」と言い、のんきに店員さんにコーヒーを注文する私。
「いやさ、コーヒーっておま、、」
「あっ、ミルク多めで!」と、全くかみ合わない会話。
支払いが済んで、熱々のコーヒーをズズッと啜り歩きながら私は思った。
なぜ車の鍵がないと言っているのに、この電話からは走行音が聞こえているのか?
「所長、今車走らせますよね?座席の下にでも落としたんじゃないですか?」
私は携帯を耳と肩で挟み込み、エレベーターのボタンを押した。
「違うんだって、」事の顛末はこうだった。
所長はその日、部下の齋藤さんと二人で遠方に営業に出かけていた。
その帰り道、給油をしようと立ち寄ったガソリンスタンドで悲劇は起きた。
齋藤さんは何を思ったのか、鍵を車の屋根の上に置いて給油をしたそうだ。
(所長は車内で電話をしながらiPadを触っていたそうで見ていないらしい)
その後、無事給油が終わり、再び運転を再開した齋藤さん。
走り始めて約10分後、高速道路に入ったタイミングで彼女は一言こういった。
「あれ、、、所長。私、鍵どうしましたっけ?」
あまりのアホっぷりと事後処理の大変さに、もう笑うしかない私。
笑いを押し殺すように、咳払いを2回。
所長が電話をスピーカーにしているので、「はるらっしゅさん、これ止まったら終わりですか!?死んでしまいますか!?」と明らかにパニクっている齋藤さん。
そして、それに対して「大丈夫だ!はるらっしゅが何とかしてくれるから、いいから前見て運転してろ!」と声を張る所長。
所長、私JAFの人じゃないです。
とは言え、車の管理は総務の仕事。私は指示を出すために急いでデスクに戻り、電話をスピーカーにしてPCのロックを外した。
「どうした?」近くにいた別部署の部長が、電話の騒がしさにつられてやってきた。
「ああ、〇〇さん」部長の声が聞こえたようで、改めて事情を説明する所長。
「止まったら終わりってそれ、マグロじゃねーか」と爆笑する部長。
その笑い声につられて、我慢していた笑いが込み上げ、思わず吹き出す私。
しまいには所長も笑いだす始末。
「笑ってる場合じゃないんですって!」という齋藤さんの大声が虚しく響く(失くしたのは齋藤さんなんだけど)、笑いが溢れた雨の日の夕方。
毎日大変だけど、こういう笑いがあるから、この仕事は辞められない。
※所長と齋藤さんは無事帰社し、スペアキーを渡して事態は収拾しました。めでたしめでたし。