黒いマスクと失恋猥談《ワンナイトのお話》
こんにちは。
先週から黒いマスクを着けている男と避妊をしない男は、全人類の敵だと見なしたはるらっしゅです。滅べ。(どうした)
世の中自分の思う通りにはいかないとは分かっておりますが、先週からの私の人生は、ここ数年でも類を見ないハードモードに突入しているようです。
私の心は今、非常に荒んでおります。
ラクダも転倒するであろう強風で、砂が巻き上がる果てない砂漠のような惨状です。もう、大荒れ。
それはなぜか。恥を忍んで申し上げます。
それは、えぐい失恋をしたからでございます。
今回のお話は、私の心が砂漠化している要因【失恋とワンナイト】についてです。
はしたないやらかし猥談で恐縮ですが、どうぞ笑って読んでやってください。
はるらっしゅの直近の失恋猥談
社内恋愛をしないと公言している私も、実際は何度か(多分6人くらい)社内恋愛の経験があります。
そんな中でも特に好きだったSさんへの恋心は、今年で4年目に突入しておりました。
私が一番綺麗だった24歳の時、職場の喫煙所で遭遇したのがきっかけ。
そう、こんな感じでした。
タバコを吸い終わった彼は、同僚と話し込んでいて、私が喫煙所に入ってくるのを認識すると、黒いマスクを耳にかけて付けながら、私に軽く会釈をしたのです。
彼が軽く下げた頭を上げて目が合った時に私は「ああ、私は彼を好きになるかもしれない」と、その時ぼんやりとそう思ったのです。
当時は新型コロナが流行る前でしたので、黒いマスクを着けている人は珍しかったのです。
だから、当時からたまに黒いマスクを着けていた彼との出会いを、私は今でも詳細に思い出すことが出来るのです。
当時、彼には彼女がいました。当然、私が手を出せば浮気です。
「既婚者と彼女持ち、そして未成年には手を出すな、さもなくば腹を切って死ね」と父から武士教育を受けた私です。当然、手出しなどできません。
今だったらおそらく「結婚してなきゃセーフ!」と手を出すだろう私ですが、当時、少女漫画の主人公にも負けぬような、清く正しく美しい私。そんなことは致しません。
恋心を憧れという形に消化して、せめて彼にとって可愛い後輩でいようと心に決め、辛い日々を送っていました。(ゆーて、他に彼氏を作ったりもしていたんですけれども。)
その一年後に転機が訪れます。彼がひとりになったのです。
普段は無宗教の私ですが、この時ばかりは神の福音を信じました。
もしかしたら、私は彼と一緒になれるかもしれないと本気で夢見たのです。
しかし、ここでバッドエンドに歩みだすのが私らしい。
どこをどう間違えたら、この好機がバッドエンドに転じるのか。
縁結びの神様も首を傾げていらっしゃるでしょう。
すぐには手を出せませんでした。
彼女とのお別れ後、彼は憔悴していました。それを近くで見て、すぐにアプローチをかけても勝算がないと踏んだのです。
そして、待つこと一年後、私は彼に告白をしました。
その後の展開はご想像にお任せします。
私は、彼の纏うにおいと空気感が好きでした。
明け方に寝ぼけて私の胸に顔を埋める彼の寝顔を見た時、私は自分でも驚くほど穏やかな気持ちになって、自分がどれほどずっと彼を好いていたのか痛感し、彼を起こさぬよう声を殺して泣きました。
後日、彼から付き合えないとお断りの返事をもらいました。
分かっていました。私が彼に好きだと伝えた時、彼の瞳が揺れて、彼の想い人は私ではないと理解していました。
だからきっと、あの日の明け方、私は泣いたのです。
ここで終わればよかったのに、問題はここからなのです。
振られて2年後の先日、私は、お酒の力を借りて彼に触れました。
なぜそんなことをしたのか、自分でも分かりません。
でももしかしたら、あの時はだめだったけど、今なら頷いてくれるかもしれないという淡い夢を、いつからかずっと夢見ていたのかもしれません。
でも、彼は最中も目を閉じて、私をちゃんとは見てくれませんでした。
そして察したのです。「彼とはもうダメだ。」と。
彼が果てる直前、彼は私が泣いていることに気づき「痛い?」と聞きました。
そして私は「気持ちいい」とキスをして、彼に顔を見られぬよう、彼の首筋に顔をうずめました。
こんなことがあれば、失恋女王のはるらっしゅもさすがに病みます。
そして、こういう時は同性の友達が一番の助けになるというのも長年の経験で学習済みです。
大学時代の友人に話を聞いてくれと連絡すると、彼女も一言、こう言いました。「私も話したいことがある」。
友人Y子の直近の失恋猥談
一カ月ぶりに会う友人のY子は、前回会ったときより若干痩せていました。
ワンピースから覗く鎖骨と手首が、彼女の痩せた体形を際立たせ、儚げに見えました。
普通じゃない、そう思いました。
そして動揺している私を見て察したのか、開口一番に彼女は苦虫を嚙んだような顔で、こう言いました。「私、好きな人が出来たの」。
事の顛末はこうです。
先日、SNSで知り合った男性に恋をした。
初めて会った日に意気投合したY子は、付き合う前にその男性を、避妊具無しで受け入れた。
その後、男性は会いたいとは言ってくれるのに、具体的な会う日程を組んでくれない。
日程が組めても、当日にドタキャン。しかもその回数、驚異の4回。
挙句、男性から連絡は来なくなり、Y子は連絡を待ち続け、現在に至る。
冷静な頭であれば、誰でも分かります。
彼はY子をワンナイトの相手として認識し、やり捨てたのだと。
それでもY子は「それでも、彼が好きなのだ」と私に言うのです。
こんな事を話したら、彼女は傷つく。
私は彼女の腕を擦りながら、なんと声をかけて良いのか分からず、ただ「辛いね」と語りかけました。
そして、話を聞き続けるしかできない自分の不甲斐なさを呪いました。
なぜ私の好きな人は私を好きになってくれないのか。
恋をすると、私は眠くなくなります。
恋しいし、寂しいし、腹立たしいから。
そしてそんな夜はいつも、「愛している」という感情はこの世で最も尊く、そして愚かな感情だと思って、そしてそんな感情に取り憑かれた自分を呪うのです。
人は緊張すると【頭が真っ白になる】と表現するけど、私は違います。
好きな人を目の前にすると、私の頭の中はいつも赤く滲むのです。
鼓動が早くなって、目が潤んで、声が震えて、体温が上がっていく。
私が彼を幸せにしてあげたいと思う、自分の面倒を見るので精一杯な私には、そんなこと到底出来るわけがないのに。
叶わない片思いをすると、私は特にそうなるのです。
昔、父と酒を飲んでいる時にこの話をしたことがあります。
なぜ私の好きな人は、私を好きになってくれないのか。と。
父は「人生なんてそんなものだよ。」と笑い、私に酒を注いでくれました。
そして、私はずっとその理由を考えながら、父が酔いつぶれるまで酒を飲み続けていました。
その夜、結局答えは見つかりませんでした。
しかし、その過程でこんな考えが浮かびました。
人の恋愛というものは、憧れや尊敬からスタートする感情であり、自分が好きになる人というのは、結局いつも私よりも優れた人間なのだ。
片思いとは常に高望みなのだ。と。
だからと言って、片思いが悪いという話ではございません。
ただ、基本的に片思いは高望みだから、叶えばラッキー、ダメでもともとくらいの気持ちでいるくらいが、ちょうど良いのではないか、と思ったのです。
Y子にも同じ話をしましたが、片思いの相手が自分を好きになってくれないとして、それは自分に落ち度があるわけでは絶対にありません。
一度寝たから飽きるとか、興味が無くなるとか、そんなものは単調でつまらないセックスしかできないダサい男の言い訳です。
真に受けなくて良いですし、そんな相手とは付き合わなくて正解です。
そして、あなたにはちゃんとあなたの魅力があるのですから、それを絶対に見失ってはいけません。
他人に自分の価値を委ねてはいけないのです。
私も、私にこれをサブリミナル級に言い聞かせ、現在何とか心を取り戻しております。
恋をするとフィルターがかかって、相手がその辺のアイドルより美しく見えます。
そして「どうして自分を好きになってくれないの?」と恋焦がれますが、目が覚めると大したことはありません。
相手はアイドルではなく、ただの一般人です。
私を例に挙げると、後日会社でSさんを見ても、触れる前のようなときめきは一切ありませんでしたし、なんなら「なんか、違う」と首をかしげる始末。
【女心と秋の空】と言いますが、私の場合は【はるらっしゅの心と激流】でございます。
目を離した瞬間には、もう気持ちが流れ去って消えてるというか、跡形もないのよ。
皆幸せになりたくて、それぞれが悩みを抱えて、それを隠して笑ってるこの世界で、私もY子も、それぞれがいつか、心から愛し合える人と結ばれれば良いと思う、今日この頃です。
※余談※
月末は退職者が多いものです。
本日、仲の良い同僚が退職するので社内チャットで「今日で退職なんて、やっぱり嫌だ。寂しい~」と送信した私。
送信してから気づきました。
名字が同じなせいで、仲の良い同僚に送るチャットをSさんに送っておりました。
あまりのやらかしに、白目を剥く私。
急いで「間違えた、忘れて」と送ろうとしましたが、それより速い光の速さで「俺辞めねーよ、嫌がらせかw また飲みに行こうな。」と返信が来て、胸がぐっとなりました。
こんな気まずい関係だったのに、こういうことをさらっと言える、人ったらしでチャラくて、私より全然大人で魅力的な憎たらしい彼。
少しずつ恋心を忘れて、新しい関係を築いていきたいと思う、はるらっしゅでした。